□デメリット、メリット□
 
 先にも書きましたが、デメリットの方がもしかすると多いかもしれません。しかし「奇麗な形成品」という言葉と現実の前には全て帳消しになる場合があります。まるで尻込みをさせるように先にデメリットを書き出しますが、これはこれで知っておいてほしい項目なのであえて先に記載したいと思います。


デメリット
●パーツ全てが揃っていなければならない。
 遠心用シリコン型は大きくなりますのでパーツが揃っていないうちに型取りをしてしまうと、後に出来た数パーツのためにシリコン型を起こすのはシリコンの無駄になります。

●型が壊れた時の損失が大きい。
 型が大きいので、ほんの数パーツの為に型を作り直さなければいけない可能性があります。が、これは運用方法により回避できる事もあります。

●抜き損じの数パーツのために全てのパーツへ注型しなければならない。
 型が大きいので数パーツ欲しくても全部にキャストを流さねばなりません。しかしこれも後で説明する方法で回避可能です。

●大きな物、厚さのある物には不向きである。
 型の厚さは4センチ、5センチ程度と考えてください。となると抜き方向に対しそれぞれ3センチ、4センチまでの原型が限度だと考えております。

●危険も伴う
 注型中に気を抜くと大きな事故になりかねません。型が高速で回転してますので安全対策は万全に行わなければなりません。 

 

メリット
●気泡の少ない形成品が可能になる
 遠心力により無理矢理キャストを押し込むので気泡の少ない形成が可能です。常圧下では空気だまりが出来るような所にも気泡が出来にくくもなりますので、気泡抜き用の切り欠きも少なくなります。

●ゲートが一つに出来る。
 中心部からのびるゲートからキャストを押し込む形になりますので、常圧下のアンダーゲートト方式のように注入口、空気抜け口と二つのゲートは必要ない場合があります。これは、製作が楽になると言う事です。また、ゲートが1つの場合型へのダメージも少なくなります。これについては別途記述いたします。

●型が大きいので、抜きの効率が良い
 型が大きいので、1型に入るパーツ数が多く、型の数も少ないので注型回数が減り、生産効率が格段に上がります。

 □実作業をしての感想□
 前記のメリット、デメリットを踏まえつつ作業効率について実作業を行ったメンバーに聞いてみると、とても良い反応がありました。とても効率的で、奇麗な形成品が出来たとの事です。ちなみに同じ物を常圧下での型取りを行っております。
 
「常圧下抜きで22個抜くよりも、50個遠心で抜く方が数は倍なのに時間は2/3ぐらいで、しかも奇麗」

との感想。しかしながらこれは遠心機を二台用意したためだと思います。夏場の作業でしたが、キャストが硬化し脱型出来るようになるまで5分とすると、型が1枚の場合はその間ただ回転しているのを待つ、形成品のゲート切りで時間をつぶす等それは人それぞれだと思います。
  作業効率を求めるならば、遠心機を二台用意し、硬化待ちの時間にもう一組の型に注入。延々と作業する事になりかねませんが効率的ではあります。

 常圧下での抜きの場合、型の数が多くこのような事はないかもしれませんが、一枚の型に多くの原型が入れられるが故の悩みと行った所でしょうか。時間は有効に使いましょう。もちろん二台目導入の検討は自作遠心機の有用性と必要性を検討の上と言う事で。

 

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